理解をしていくこと
アルコール依存症者とかかわりはじめ7,8年たったころ、小児科からオーダーが入り始めた。不登校、無気力、こもりがち等の症状である。更に高校生になると一人で来談し、将来への不安めいた話をしに立ち寄ることもあった。
子どもは生まれてくる家庭を選べない。酒を飲んで帰宅した父親が家族に罵声を浴びせる。やがて夫婦喧嘩となり、父親が家族に暴力を振るい始める。幼い子供たちはどうにもできない。だから、心を凍りつかせ、無表情になって、ひたすら時間が過ぎるのを待つ。やがて大人になり、親子の体力差もなくなればそうした恐怖の場面も減るであろう。けれども小さいころに体に染み込んだ暴力的な言葉は容易には消えていかない。
やがて大人になるが生きづらさを抱え二進も三進もいかない状況となる。
これらトラウマテイックナ環境を生き延びるための対処、つまりその人の生き方の癖を分かるようにならねばならない。
そう簡単なことではない。依存行動だけを変えようとすることはできない、依存行動につながるのはトラウマの影響だけでもない。孤立・苦痛への対処など保護要因を増やしていくことになる。
何が起きてるのかを理解していく、そばにいる支援者も理解をしていくことだ。
最近やたらと教育福祉の業界で『ヤングケアラー』という言葉を耳にする。ヤングケアラーの項にあるかかわり方の説明文に「アルコール依存症の家庭で育った子ども」に対して、<酒は買わないようにする><酒瓶などの後片付けはしなくてよい>と記されており唖然とした。まるで素人の感覚であり逆に辛くなった。“この程度の事しか理解をしてないのだ”とそのくせ「人権として・・・」などと吹聴してるのが可笑しくさえ思える。
暴力は家庭の中だけであるものではない。現在、あからさまな暴力は姿を消しているようにも見える。が、ほんの薄皮一枚はぐと、とぐろ巻く暴力が見え隠れしているのではないでしょうか。
話は変わりますが、今年の11月29日・30日には香川の地で「日本アルコール関連問題学会」の中国四国部会の香川で開催されます。興味関心を持たれたならば是非サンポートホールに足を運んでくだされば幸いです。お持ちいたしております。
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(G記)