先日のことです.久しぶりに遠方の映画館に足を運び、今話題の「あん」を観てきました。四季折々の風景が映画館に広がり吹第に引き込まれていく静かなタッチの映画でした。
内容としては「生きる意味はあるのか!」というのが根底に流れていたように感じました。主人公(治癒者)が「何故、生きているのか?親を恨んでもいました・・・」という台詞が語られ、後半に入り「私はこの世を見るために、聞くために生まれてきた。この世はただそれだけを望んでいた。思うようになれずともこの世に生まれてきた意味はある。」と言いのける。
「外を歩けることの喜び。それが大きければ大きいほど、失われた時間、もう二度と戻らない人生が苦しみとなって襲いかかってくるのです。ここにいる皆が外に出かけることで疲れ果てた顔になっているの。其れは肉体的なことばかりではなく、絶対になくならないこの苦しみがあるからなのです。」とも言う。
−度、隔離された者という立場に立ったからこそ、過去を怨み、社会への怒りを抱き苦しむ。回復した今、これまでの時間を必要としたこと、自らの過去を受け入れることとなり、戸外の風景が色鮮やかに、凛とした空気を感じることができたということでしょう。
身を助けるために、何千日に渡りあんこをつくり続けた主人公は、何時しか、小豆のこころ(音)を聞き取ることが出来、つまり人を受け入れることとなっていったのでしょう。
桜の花が咲き誇り、天空から無数の花びらというエネルギーを地上の人々に注いでいるかのごとくで映画は静かに終えました。
静かに運び、静かに終えた映画でした。
(G記)