―― は じ め に ――
今年は秋の景色を感じぬまま、冬将軍の到来です。街路樹は強風を受けて、お披露目をしないまま地面に叩きつけられています。日本の良さ、四季折々の風景が薄らいできており残念です。
11月19日に、高松市美術館が主催をした「高松コンテンポラリーアート・アニュアルVOL.03」の茂木健一郎氏のトークイベントに参加しました。(抽選で当たりました)話を聞くまで知らなかったのですが、茂木さんは文化芸術に造詣が深く、現代美術が持つ要素、楽しみ方を披露くださり面白おかしく講話くださいました。
とにかく現代美術においての着眼点として「批判性」「視点の転換」の重要性を90分間にわたり、身振り手振りで解説を加え、会場にいる参加者にも質問を投げかけるなど、会場が演者と一体化し楽しく終えました。
一例として、市美術館に展覧しているアーテーストのスプツニ子(若者)さんの出品を取り上げ、<月面にハイヒールの足跡>でデビューした話だ。何故、男性でなく女性の靴跡かという批判がこの作品のデビューとなったのだと話されました。1917年、マルセル・デュシャンの作品<泉>と題した男性便器の話。エ〜と思わされるが20世紀に影響を与えた作品となったことを面白おかしく話された。見方を変えればまったく違って見えるのが現代美術なのだと力説された。更に最後の締めくくりとして伊藤若冲の絵、「鳥獣花木図屏風」について、御釈迦さんご昇天される日に集まった動物たちの視線はどのように見えるか?われわれは気付かないままやり過ごしてきているが「アートは肝心なことを隠しているものだ」とも言われた。回答は辛さ、寂しさで見送る目であったとのこと。
モジャモジャヘヤーの茂木さん、物心ついた学生時代より、自らの手でカットをし、理髪店には足を運んだことがないという、茂木さんこそが現代美術であるのだろうと感じました。
(G記)
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