――――――――― は じ め に ―――――――――――
つい先日、6月19日にはゆかりの地で太宰治の100周年桜桃忌式典が開催され、禅林寺には多くのファンが訪れたと報道されたが、太宰の小説には、なぜか心に刻まれる不思議な文章の魔術が広がっているのを感じます。素直に、苦悩の内奥や女々しさを表現していることが、ファンが後を絶つことなく現在まで続いている証なのでしょう。
太宰の作品は、「生きていてごめんなさい」という内容のものが多く、愛されたい人に愛されない思いがここかしこにあふれており、太宰自身のことであろうことを書き、自分をついばんでいる様にさえ感じ取れます。この啄ばむ(ついばむ)という行為を考えた時、弱いものには出来ない行為ではないかとも思えます。太宰は人としての弱さをもち、でもそれを隠さないという強さが小説に著せているようにおもいます。
(G記)
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