はじめての韓国。そして娘の結婚式 ④
結婚式の当日の朝食、彼が注文するのを忘れていたので韓国のコンビニのパン・その他でお腹をふくらませた。午後3時結婚式の控室に行く時間までホテルの部屋で過ごすこととした。ホテルの部屋のテレビをつけても言葉がわからないので夫はベッドの上でウトウトしている。私といえば、娘より「韓国には日本の着物の着付けをしてくれる人はいないから、母さん着物は自分で着てよ。」といわれていたので着付の特訓を受けてきた。夫が眠っている間も私はホテルの部屋で留袖の着付けの最後の練習をした。
時間に合わせ日本の礼装(夫は礼服、私は黒留袖)でご案内のあった控室に行く。花嫁は美しいウェディングドレス姿で到着していた。彼のお母さんも来ていた。来る人来る人が花嫁と一緒に写真を撮る。どうもプロのカメラマンらしき人が3人いろいろな角度から写真を撮っている。彼のおばあちゃんがいらっしゃった。私は日本語で「はじめまして、ケイコの母親です。本日はおめでとうございます。ケイコのことよろしくお願いします。」とご挨拶した。お父さんが通訳して下さり、おばあちゃんは「この歳まで長生きさせてもらったからこんな嬉しいことに出会うことができました。ありがたいことです。」とおっしゃった。
会場受付には、花々を100本位束にした花瓶が何個も並び、その間に昨年9月に韓国で撮った結婚式の前写しの大きな写真がいろいろなポーズであっちこっちと何枚も華やかに飾られている。韓国のお客さんの女性の9割はチマチョゴリの正装である。男性は紺かグレーのスーツ姿がほとんどであった。パーティ会場は、しぼって・しぼって、100人のお客様とお聞きしている。洋式のテーブル設定がされている、その真ん中にバージンロードがある。バージンロードは無数のバラの花びらで飾られている。
正面のひな段は多くの花で飾られ大きなローソクが式のはじまりを待っている。司会進行は彼の韓国人の友人。日本語通訳は日本人の娘の友人。
女性3人組の生演奏が流れはじめ結婚式がはじまった。まず彼のお母さんが左、私が右で、二人で手をつないでバージンロードを進み正面のひな段に上がる。真中のローソクそれぞれ火をつけ自分の席にもどる。次に彼が一人でバージンロードの前の端に進む。次にウェディングドレス姿の娘が父親と腕を組んで彼のところまで行き、娘を彼に渡す。彼と父親がハグをする。彼と娘は正面のひな壇に上がり、ローソクに火をつける。下の端のローソクに火をつけると順々に小さなローソクに火がつき一番上の大きなローソクに火がついた。正面には仲人役の彼の大学時代の恩師がいる。彼と娘は指輪の交換をしてハグをする。仲人役の大学の恩師からお祝のお言葉を受ける。通訳の娘の友人が日本語に通訳してくれる。彼と娘は私達のところへ来てお互いハグをする。私は彼に「おめでとう。ケイコをよろしく。」と伝え、娘には「おめでとう。この日を迎えられてよかったね。幸せにね。」と伝えた。その後二人は彼のご両親のところへ行きお互いハグをする。彼と娘の友人の韓国人の女性(女優で声優)が生演奏でお祝いの歌を唄ってくれる。写真撮影がはじまる。プロのカメラマンらしき人が8人もいたのには驚いた。正面で花婿・花嫁を囲んで、両家の両親・親族。次は友人。次は職場の人。次はこの衣装の時一緒に写真を撮りたい人のひな段の上はワイワイしている。その間お客さん達はそれぞれに楽しんで、フルコースの洋風料理が運ばれてくるのをパクパク食べて、お酒を飲んでいる。
彼と娘が韓国式の正装でのお色直しで登場し、写真撮影。その後各テーブルへ挨拶に行く。お客さんは、お父さんがしぼって・しぼって、100人のテーブルにしたというが、別室に何十人かのお客様がいる。その会場に入り切れなかった人達のよう。バージンロードの片方には、お父さんが仏教哲学の教授ということで、韓国の本山の各種の宗派の偉いお坊さんが13人もお客様でいらっしゃっている。又バージンロードの片方には、彼と娘の結婚を祝って下さる友人・知人・職場の方々が50名、日本から、韓国から、香港から、台湾から、上海から来て下さっていた。親として彼と娘の交友関係の広さに驚いた。
二回目のお色直しは、古代からの宮廷の結婚式を再現するのか、別室に移動した。衣装は彼も娘も袖の長い韓国の衣装を着て冠をつけ、日本でいう畳の部屋のご先祖様の前に座っている。彼のお父さんが「本来はご先祖様に結婚のご挨拶をしなければいけないのですが、今日はホテルで結婚式をしましたので、自宅からご先祖様の位牌を持ってきました。」ということで、韓国の古来からの結婚式を再現した。彼と娘はご先祖様にご挨拶をして、次におばあちゃんにご挨拶、ご両親にご挨拶をする。私達にはここに座って下さいといわれるままに行動した。興味深いのはご先祖様にお供えしているナツメとか栗を花嫁の広いスカート風の中へなげ入れる。それが多いほど子宝に恵まれるという。それぞれが皆さんご先祖さんにおまいりをして、花嫁のスカートになげ入れる。お父さんは日本から来たお客様に、一生懸命説明をしてくれる。いろいろな場面で、皆花婿・花嫁と一緒に写真を撮るのを楽しみにしていて、グループ毎に何組もの人が写真を撮っている。
やれやれ長い一日が終わった。私の留袖姿もそれなりに満点をあげよう。よく頑張ったよ。「お父さん、やれやれ、今日が終わってホッとしたね。」
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