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(手記:エフコ)

「ブレーメン紀行(3)」

 街中のレストランへ連れて行ってくれた。どのテーブルにもローソク立てが置いてある。ドイツは、一年中の日照時間が短い国のよう。私が行ったのは5月、6月1年中で一番いい季節。朝は4時前から明るくなり、夜は10時頃まで明るく、夜10時頃、私はベランダで針仕事ができた。しかし聞くところによると、こんないい季節は短いよう、8月になったら4時頃から暗くなる。朝も明るくなるのが遅いとか、ローソク立てはレストランによって、いろいろなのがあった。真鍮で作った素朴でどっしりしているもの、岩塩で作った白くてずっしりしているものなど。ローソクの明りの中で食事をするのも楽しいだろうと思ったが、私は経験できなかった。ドイツの照明は家の中でも日本と比べ、薄暗い。ドイツの人は外出する時よくサングラスをかける。日本人とは眼の構造が違うのかな?眼の色も違うし・・・
 

 私がドイツへのブレーメンへ行ったのは5月中旬。1年中で一番いい季節。娘夫婦が近くのしゃくなげ園へ連れて行ってくれた。広大なしゃくなげ園、手入れの行きとどいた庭、しゃくなげの大木が無数にある。みごとな花々に圧倒されるカメラのシャッターを切る。切る。切る。切る。そのしゃくなげ園は、品種改良交配をして、1000種類もの花がありますと書いてあった。
 又、散歩コースには、広大な墓地公園がある。周りは大木が生い茂り、小鳥がさえずる、池がありアヒルが泳いでいる。あっちこっちの木陰にはベンチがあり、墓地であるのに公園になっている。この公園も、1000年もの昔からあるのだろうとおもわれる。昔、ギルドで大金持ちの人の墓所は、聖堂のような立派な建物があっちこっちにある。ドイツは全部土葬で、土葬の後は全部、芝生が植えてある。墓地公園の入口近くには、数軒の墓石屋があり、数軒のお花屋さんがある。お花は、根のついたものをお墓の上に植えてある。丈の短い色とりどりのお花が、どの墓地にも植えてある。緑の芝生に色とりどりの花。墓地であるのに、素敵な公園である。各墓地には、墓地の手入れをする業者との契約の小さなプレートが立っていた。広い広い公園の中で、お墓参りに来た人か散歩に来た人かなと思われる人達に出会った。ドイツの人は散歩・サイクリングが好きな人が多いよう。
 娘の住いは、いわゆるマンション。それぞれのベランダには外から見えるように、色とりどりの花が飾ってありヨーロッパの風景そのものである。娘のマンションの裏は、高級な一戸建ての家。木の繁みの奥に手入れの行きとどいた、芝生が見える。お客様の来ているらしい時は、外でのガーデンパーティーが開かれている様子。小鳥のさえずりが聞こえピアノの音が聞こえ、お客様との語らいの声が聞える。夜がふけてくると、木の間からローソクの火が見える。お泊りのお客様だったのか朝食も外で、されているよう。私にはとっては洋画の世界そのものである。

 ブレーメンの街は、きれいだった。どの家も、どの家も、芝生はきれいに手入れされている。丁度、お花の咲きみだれる季節だった。シャクナゲ、バラ、ハマユウなど、多くの花々が家の庭に咲いていた。道路もゴミがちらかっているということもなく整然としていた。しかし、落書きはあった。この落書きは世界中にあるのかしら?
ドイツの人は”音”にうるさいらしい。早朝はもちろん。午後1時から3時は休息の時間。10時以降は、うるさくしていると警察に通報される。日本から行っている私には、困ることがいろいろあった。掃除機をかけるのにも気をつかい、1回の洗濯に2時間かかる。洗濯機を使うにも、時間を選ばなければならない。マンションに住んだことがない私は上の階の方があっちこっち動く足音が聞えるのに驚いた。娘の下の階の方にも、孫が走り回る音が聞えているのだろうと思う。
 ブレーメンの街には、公共の無料のトイレというのが無い。よって出かける時はまずトイレを使ってから出かける。日本はスーバーへ行ってもトイレがあるのはあたり前だがドイツにはない。ある時、ブレーメン中央駅を一人で見学に行った。駅だからなるほどW.Cという標示がある。その標示、矢印を追って進んで見た。なるほどW.Cはあった。そこには料金徴収の女性がいて、50セントを支払ってトイレの入口の回転ドアーへ向う。中に入れば、10か所位のトイレがあった。用をたして手を洗っているとその女性が手を拭く紙を渡してくれた。街の中でもほとんどトイレはない。一カ所、ここにはトイレがある(無料)という本屋さんへ連れて行ってくれた。コインを入れると自動で開くトイレもあった。 入場料を払う劇場とか、博物館、美術館、レストランには無料のトイレがあるそうだ。

ドイツへ行って、日本と違うなあと思ったこと。
• 人前で平気で接吻をすること。

• 電車の中でも歩きながらでも、ものを食べたり、飲んだり、アイスクリームを食べたりしている。アイスクリームは、ほとんどの人が長い舌でペローンとなめていた。

• 果物の皮はむかないでそのまま食べる。バナナの皮はむいてたべる。

• 葉物の野菜が少ない。日本人がドイツへ行ったら便秘になりなすいという。

• ある時、サイエンス・センターへ行った。多くの子ども達が遠足というか、見学に来ていた。お弁当の時間になったのだろう。皆それぞれ、自宅から持って来たのを開いているパンの子供が多かったが、生のニンジンをスティク状に切ったのだけを入れている子がいて驚いた。

• そのサイエンス・センターは入場料12ユーロだった。ドイツ語で書かれているので、展示物の様子しかわからなかったが、そこで私が驚いたのは建物全体、ほとんど、コンクリートを使ってなく、木で作ってあったということ。これは、日本の公共の建物では考えられないことだった。外から見たら、丸いクジラの形に見えるというのが、ご自慢のサイエンス・センターだが、骨組みもすべて、木を組み合わせてできているように見えた。木の多い国ゆえの仕事だなと思った。これは日本も多いにまねるべきだと一人で思った。
 

• ドイツでしばらく居て思ったことは日本に比べ、プラスチック製品が少ないこと、樹々が多いのと、多くの人が自転車を利用するからか空気がきれいと思った。これはブレーメンだからかも。しかし高松の私が住んでいるあたりより、もっと空気がすがすがしいと感じた。メガネのレンズが汚れないのでも感じた。
• ドイツの人は子供を自家用車に乗せる時は、必ずチャイルドシートをしっかり固定している。生まれたばかりの赤ちゃんが病院から退院する時も、赤ちゃん用のチャイルドシート(幼児用の小さい型のもの)にのせ、車に固定する。そして生まれたばかりの赤ちゃんの退院となる。もちろん大人もしっかりシートベルトをする。

• 子供を大人の自転車に乗せる時も、子供を乗せるものをしっかり自転車に固定し、シートベルトをしっかりしめ両足もちゃんと固定、ヘルメットをつけさせて、でないと出発しない。違反している人は見たことがなかった。

• 小さな子供が自転車に乗る練習をする時、いきなり子供用の自転車には乗せない。木製のペダルのない自転車の形をしたものに慣れさせ、バランス感覚を身につけてから子供用の自転車の練習をする。その時、必ずヘルメットを着けている。児童公園へ行くと、木製の自転車の練習用のものに乗ってきている子供が何人もいた。

• ドイツは秋から冬が長いようで暗い時間が多いよう。その為か、自転車にも工夫がある。ライトが前後についている。日本の場合、自転車の後は反射板が取り付けてあるがドイツの場合は、それはライトがつくようになっていた。これも素晴らしいことと感動した。
• ドイツの場合は、朝・夕の気温が低く、昼間は暑くなるという日も、多くあるようで、気温に合わせて服の調節をしなければいけない。自転車には、その為か後ろの荷台に服をはさむ機構がついている。

• トイレのこと。私は例年夏になると、水不足に悩まされる香川県高松市に住んでいる。ドイツのトイレの排水の使用量は我家のトイレ排水量の1/3 〜1/4 で、いいのである。これにも驚いた。節水の為、排水できた汚物が流れたのがわかったら、水が出ていても途中で水を止められるのだ。我家のトイレはそんなことしたら、壊れてしまうトイレの形も少し違う。便器の排水口がほぼ真中にあり鋭角になっている。自分の汚物もあまり見えない。タンクから出てくる水の勢いが強い。ジャット流れる。流れたら水がもったいないからタンクの水を全部流すことなく途中で止める。私のこと、さっそく我家にも設置している。メーカーにメールを入れた。サービスセンターから、電話があった。「わが社は研究を重ね今年春から今までより8リットルの水の利用でしたが6リットルと水が少なくて済むよう改善しました」とのこと。もっと研究をしてもらいたい。

ブレーメン紀行(4)

(手記:エフコ)