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(手記:エフコ)

「ブレーメン紀行(2)」

 ドイツ・ブレーメンへ到着したのは夜だった。暗くて外の景色はよくわからない。クリストフが「日本と違ってネオンサインの光が少ないでしょう」という。なるほど、外灯があるが薄暗い。
 翌朝、小鳥のさえずりが、うるさくて目がさめた。外の景色を見て、あっ私は異国に来ているのだと実感。家々の屋根の形、色合いが異国の文化、ドイツの景色である。今まで雑誌とかで見かけた風景写真と同じ雰囲気、ああ私は遠くドイツへ来ているのだなあーとの思い。

 娘が街へ行こうと連れて行ってくれた。路面電車に乗る。東京駅に似たブレーメン中央駅を通り、マルクト広場へ。異国の風景としてよく写真で見る、聖ペトリ教会の二つの塔、ギルドハウス、旧市庁舎、ローランド像、ブレーメンの音楽隊の像。マルクト広場は1200年代から1600年代に建てられた建物ばかりだとか、そしていたるところにモニュメントが数えきれないほどある。

 マルクト広場は広い広い広場で、あっちこっちにオープンカフェーがあり多くの人々が食事をしたり、ビールを飲んだりしている。その裏口には、露天商の広場がある。お花屋さん、八百屋さん、お肉屋さん、チーズ屋さん、ソーセージ屋さん、魚屋さん、洋服屋さん、アイスクリーム屋さん、パンソーセージの軽食店、いろいろな店が集まって市場になっている。
  

 マルクト広場の奥は観光客がよく行くベットヒャー通りがあり、ジプシーの人達が路上にて、クラリネットアコーディオン、ギターの演奏をしていた。又バイオリンの独奏をしている人もいた。
ベットヒャー通りの奥には時報に合わせて、カリヨンが鳴る。そのカリヨンはマイセンの陶器で作ったものとか。50個位のカリヨンが鳴っていた。その横には仕掛時計がクルックルッと回って、偉人の彫刻が出てくる。ライト兄弟とか、コロンブスとか。 

街の小さなトルコ料理の店で、ケバブというのを食べさせてくれた。小麦粉を丸く薄く焼いた皮に、吊るしている肉をうすく切ったのとサラダを一緒にして、特製ソースをかけてくるくると巻いて、アルミに半分位つつんで「ハイどうぞ」とくれる。それを持って食べる。おいしかった。それを歩きながら食べている人を多く見かけた。アイスクリームなど大人も子どもも歩きながら食べるのが普通のよう。それと、電車の中でリンゴをかじったりバナナを食べたり、パンを食べたりそれが普通。くだものは、バナナは別として、皮をむかないで食べるので普通。
 別の日にドイツ料理の店に連れて行ってくれた。民族衣装を着たメイドさんがいた。ドイツの郷土料理は量が多いのと味が私の口には合わなくて、大食家の私だが残してしまった。フランスの家庭料理のお店の食事はおいしくいただいた。
 街中には、いろいろな人種の人達がいた。ドイツだからドイツ人が多いのは当たり前だがトルコ人、ロシア人、黒人、ユダヤ人、アジア人、それぞれに特徴があり興味深かった。
 物乞いが何人も何人もいたのには驚いた。娘がいうには、「ドイツは、どんな人にも最低限の生活ができる保障は国がしている。健康な体の若い人が物乞いをしているのは知らぬ顔をしていればいい」とのこと。ドイツでも若い人のフリーターが多いため、そういう人にも生活ができる保障を国がしているという。就職に関する制度が日本とは違うよう。駅前でイケメンのお兄ちゃんやタトゥーを入れた美人のおねえちゃんが物乞いをしているのには驚いた。

 ブレーメンの街中は路面電車。バスと交通の便が非常にいい。路面電車・バスともに全車輌の運転手席横に身体障害者用の一人乗りのリフトがついていて、車椅子の乗客がいる時は運転手が乗降車の操作をする。路面電車・バスには自転車を一緒に乗せる人もいた。
 ドイツ・ブレーメンの街は、信号機が非常に多い。大通りの信号機はもちろんのこと、皆自分の行く方向にそれぞれ信号機があり、信号機に手をかざし信号が変わるのを待って渡る。そして又、信号機に手をかざし、信号が変わるのを待って渡る。ドイツの人は皆、気長く信号が変わるのを待ってそれに従っている。それを無視して通ろうとする人はいない。自転車道も皆守っている。ドイツの車の運転席は左にある。
ドイツは自転車道が非常によく整備されている。車道、歩道、自転車道がきっちり分かれている。自転車道は赤いレンガの道がどこまでも続いている。歩道と車道は石を敷きつめているのでガタガタ道。車に乗ったら石の上を走るからガタゴトしている。音もうるさい。
ドイツの人はサイクリングが好き。クリストフが森の広い広い公園へ連れて行ってくれた。多くの人がサイクリングをしたり散歩をしたりしていた。広い広い公園の中は森があり林があり湖があり、動物園がある。樹木が多く小鳥が多く、うるさいほどのさえずりが聞こえる。そして小鳥は人が近づいても、チョロチョロと寄けるだけで逃げない。
森の中には、オープンカフェーが所々にある。クリストフと孫と私の三人でそのカフェーに入って行くと、全員の目がいっせいに私達を目で追っているのがわかる。東洋人の私を珍しく思って皆が見ていたよう。私は悠々とアイスクリームを食べた。

ブレーメン紀行(3) 

(手記:エフコ)