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(手記:エフコ)

「ブレーメン紀行(5)」

 6月終りの日曜日、クリストフのママの60才の誕生日パーティーがあった。
5月に生まれた孫のお披露目も兼ねていた。ブレーメンへ出発する前から是非出席を!とご招待を受けていたので私も出席。ドイツ人ばかりのお客様。親類とママの友人達。私は日本から来たお客様。皆様はラフな感じの服装。私は? 私は一張羅の服で、それなりに装飾品もつけ、緊張!緊張!緊張! 親類の方々に紹介していただいたが、はじめてお会いする方ばかり。日本人の私は握手をするのが精一杯。ドイツ人はハグするよう。
ママの誕生日のパーティーはガーデンパーティー。大きな樹々に囲まれた広い芝生の庭にテーブルを出し、その上にご馳走が一杯。ビール・種々のお酒、私にとっては、洋画で見た風景そのまま。私は緊張でご馳走にもお酒にも手が出せなく、赤ちゃんの世話ばかりしている。ドイツ語ばかりが行きかい、私は話をする人もいない。時おり娘が通訳をしてくれる。皆様、気を使ってくれるが、この緊張はどうにもならない。上の孫はお客様の間を嬉々として走り回っている。ドイツも小子化のよう。30名余のお客の中で子どもは孫二人だけ。
 パーティーの後半には並んでいるケーキを食べる。ケーキはどれも直径26cm。日本のケーキ屋さんで並んでいるショートケーキの直径と同じ大きさ。クリストフのママが焼いたもの・おばさんが焼いたもの・お友達が焼いたものいろいろ。どれも、どれも、美しくデコレーションしてある。それぞれにとってもおいしいケーキだった。クリストフのおばあちゃん82才が「私もこのケーキ焼いたのよ」と話しかけてきた。私は82才のおばあちゃんがケーキを焼くとは素晴らしい!と感動を覚えた。そしたら娘が言うには、日本の私のおば、「アイのおばさんが、おはぎを作ってくれるようなものよ」とのこと。それにしてもそれぞれのケーキは日本にはない食材を使ったものも多く、それぞれに美しくおいしかった。
 ママの誕生日パーティーは、お友達親戚の人達は帰り、クリストフの両親と、おばあさんとおばさん、そして私達だけになった。ドイツではいただいたプレゼントは家族の前で開けてワイワイと皆で楽しむよう。
60才お誕生日おめでとう!というメッセージカードと共にプレゼントが出てくる。上等のTシャツだったり、ちょっとした小物だったり、お金が一緒に入っていたり、ラッピングされたのを丁寧に開けて皆に見せ、皆と一緒に楽しんでいる。最後まで残っていた私達と一緒にクリストフの弟と弟の彼女・彼女のご両親がいた。彼女のご両親は高速で3時間位離れたハンブルクから来ていた。
 弟の彼女の名前はユリア。ユリアは一人っ子。弟とユリアはクリストフの実家で泊まるという。ユリアのご両親はクリストフのパパが予約した近くのホテルに泊まるという。エッ?! 結婚もしていない弟の彼女のご両親をママの誕生日のパーティーにご招待! 結婚もしていない弟とユリアが実家で泊まる?! 弟の彼女は二人目。最初の彼女も実家によく出入りしていたが別れた。この彼女は皆あまり気に入っていなかったので家族中がホットしたとか。ユリアは皆がいい子だと認めているとか。私はクリストフの弟にもユリアにもこの時はじめて出合ったが二人共、素敵な若者だった。
 ドイツ人は結婚する前に同棲するのが普通のよう。「だって一緒に生活してみないと長い人生共にできるかどうかわからないから」だって! 日本人のおばさんの私には考えられない!!!
 お客様の中に三番目の夫と一緒に出席していた人がいた。二番目の夫もお客様として出席していた。彼女は最初の夫とは離別。最初の夫との間に二人の子どもが授かった。二番目の夫との間には子どもは生まれなかった。二番目の夫と、最初の夫との間に生まれた子どもとは、非常に相性が良く仲良かったので、養子縁組をした。しかしその後、夫婦は離婚。子どもはそのまま二番目の夫の子どものまま。今は大学生になり親元を離れているとか。どうしてこういう関係のお客がご招待かと聞けば、どの人達もクリストフのパパとママが大好きなお友達だからとか。日本人の私にはシンジラレナイ!!! ことばかり。
 はじめてパスポートを取得して行ったドイツ、ブレーメン。緑の樹木が生い茂り小鳥のさえずり(黒いつぐみ)がうるさいほどの自然が多いところ。家々の庭には色とりどりの花が咲きみだれ、どの家の庭もきれいに刈り込んだ芝生が美しい。清潔な異国の街並。一年中で一番季候がいい時期に行くことができ私は幸せな時を過ごすことができた。
 5月に生まれた孫はもう生後5ヶ月。時々パソコンで写真が送られてくる。私がブレーメンにいた頃とは別の子かと思う程、成長した顔。娘の言葉では、「人間一生のうち、この時期の成長が一番めざましい時、あたりまえでしょ!」という感じ。
 ドイツは一年中の日照時間が短い。クル病予防の為、全部の赤ちゃんに生まれてすぐより2才までビタミンDを飲ませるとか。国から配布されるよう。そのせいか、首のすわりがはやく、成長がはやいように思われる。
 6月の終わりに私は帰国。帰宅して、やれやれと思う間もなく今年の猛暑。やっと秋が来て、紅葉でも楽しもうと思っていると10月中旬、娘が孫を連れて帰国。関西空港まで迎えに行きロビーに出て来たのを見てびっくり。娘は大きな荷物を3個持っている。一個は背中のリュック。一個は左手、右手には大きなキャリーケースを引いている。4才の孫が自分の背中にリュックをしょって妹を乗せたベビーカーを押している。娘のたくましさに驚かされる。飛行機に乗せることができる荷物は一人30kgのチケットを買っているとか。よってドイツへ帰る時は、娘の荷物30kg・上の娘の荷物30kg・手荷物一人10kgで三人分(赤ちゃんのも入れる)最高90kgまでの荷物は持って帰れるのだって! 又、本とか味噌しょうゆ、その他一杯買い込んで帰るのだろうが、このたくましさには、いつも驚かされる。
 私の下手な文章を読んでありがとうございました。ブレーメン紀行これでおしまいです。 (2007年10月)
 

(手記:エフコ)