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(o.s)

集団ストーカー妄想の増殖

 印刷技術が発明されて以後、世界のあり方が変わったように、インターネットが出現して以後、世界のあり方が変わりました。Googleを検索すれば、専門知識も素早く獲得できます。YouTubeには8000万の動画があり日々増え続けています。様々に語られる不景気の原因として、インターネットでのボランティア的文化活動や無料娯楽コンテンツの増加による、人々の金銭勘定外活動の増加が考えられます。インターネットから享受できる文化的豊かさが拡大する陰で、従来在り得なかったような災厄が出現しました。インターネット・ウィルスやスパイウェアは、インターネットとコンピューターを媒介として増殖拡散する災厄です。デマウィルスチェーンメールなど、インターネットと人間の心理を媒介として増殖拡散する災厄もあります。

 「集団ストーカー」と言う言葉を聞いたことがある人は、多分ほとんど居ないと思います。「集団ストーカー」をGoogleで検索すると20万件出現します。「ストーカー」の検索結果318万件の6%です。「集団ストーカー」の字面から考えると、『恋愛感情に執りつかれた変態人間達が大勢やって来て付きまとう』と言うことになりますが、変態人間の存在率はそんなに多くは無い。有名人でもない限り考え難い。有名人に関してもそんな報道は聞いたことが無い。「集団ストーカー」のおおよその意味は、『決して正体を暴かれることが無い謎の加害者集団が娯楽目的で被害者を苦しめて精神的に追い詰めるために仄めかしや嫌がらせをしている』という訴えです。被害妄想の類ですが、単なる被害妄想ではない。インターネットサイトから感染、精神定着します。現代人の素朴な唯物観を基盤としていますが、宗教的要素があります。その教義から、関係妄想や幻聴・幻覚を独自の教義で説明します。教義内容から必然的に、精神科に行くことを妨害する機能があり、隣人や世界に対する憎しみを増幅します。憎しみや怒りや異常な世界観から興奮状態になり、連鎖反応的に特殊な意識状態が持続します。 「集団ストーカー」をGoogleで検索すると、最初にあるのは正常な世界観で作成された探偵社のwebページです。後は集団ストーカー妄想に感染した人々が作成したページが次から次へと並びます。多数決をすれば、完璧に集団ストーカー妄想の大勝利です。それらのwebページでは怪しいトンデモ科学情報を並べて、中途半端な電波知識や脳神経工学から安易な空想や妄想理論を繰り広げています。妄想サイト同士は、互いにリンクし合って妄想の強固化を図っています。              
 情緒や感動を伴わない知識に偏重した教育のあり方が妄想体系に対する精神的抗体を脆弱にしているのではないかと思います。