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(手記:エフコ)

「ブレーメン紀行」


  生まれてはじめてのパスポート入手。そしてドイツ・ブレーメンへ。めったにしないメークをして、イヤリング・ネックレスをつけ、とびっきりのおしゃれをして写真館へ。だって十年通用するパスポートを取得しようと思っているのだから。
出来上がりの写真を見て“なんじゃこりゃ?!”しっかりおしゃれをしたのに顔ばっかりの写真。なんて白っぽい写真、との思いはパスポート新生の前日のこと。
 そして申請当日。係りの男性は、その写真を見て「ちょっと白っぽいしこれで通るかどうかわからないが一応受付けておきましょう」という。一週間位して通知が来て受取ってびっくり。ニョキッ!と顔の中に目と鼻と口だけ。
 

 生まれてはじめての外国旅行。緊張と不安が入りまじった気持ちで関空へ。
KLMの窓口をみつけて荷物検査。搭載荷物は20Kgまで家で何ども測ったが大丈夫だろうか。搭乗ゲートで手荷物を検査のローラに乗せる。自分は検査のところを通る。ピッピッと鳴る。いかつい女性が上から下まで触って検査するが別に何もない、パス。やれやれ。
 いざ飛行機に。我家の子ども達のアドバイスで通路側の席をとっていたのでヨイショと座った。隣は、広島から来た同僚のお姉さん二人組。よかった日本人の人で。

 

  行く前から風邪を長びかせていたので、おかしなかっこう。おしゃべりおばさんの私。旅なれた、お姉さん二人。
「おばさんパスポート取得したの、はじめてなの。娘のお産の手伝いにドイツへ行っているの。」
「えっ!はじめての外国旅行。お一人でドイツ?!」
「おばさん、ドイツ語も英語もまったくわからないのよ。かろうじてアルファベットだけわかるけど。」 
「ふーん」
「すみません席変わっていただけませんか?」彼女がいう。「いいですよ」私、窓ぎわになって外の景色が見えるのが嬉しい! 搭乗時間は十一時間。行くときは日本から中国をかすめロシアの上を何時間も何時間も飛んで、フィンランド、デンマーク、ドイツ、オランダと。オランダ、アムステルダル、スキポール空港到着。同席になったお姉さん二人が、乗り換えゲートの方まで一緒に行って教えてくれた。助かったあ〜。
ドイツ・ブレーメン行きの時間まで四時間ある。まずは、乗り換えゲートの確認。空港のビルの中をうろうろ。

  スキポール空港の中には、日本のお寿司屋さんもあった。私ははじめての経験として、おそるおそる、コーヒーを飲んだ。他の人の様子を見て、はじめてユーローを使ってみた。まったくわからないのでコインを手の平にのせ、お店の人にお金をとってもらった。時間があっても落ち着かない。ブレーメン行きの搭乗口近くの待合所で本を読んで過ごした。時間が近づくにつれ、人が集まってきた。出張かな?と思われる日本人二人と西洋人一の男性グループその中の若い四十才位の日本人が声をかけてきた。「お一人ですか?」「ハイ はじめての外国旅行です」「それでドイツですか?」「はい娘に二人目の子供が生まれますので、上の孫の子守りです。」「よく、お一人でこられましたね。」と感心される。

娘から「何か聞かれたら見せるように」とパソコン打ちの短い文章を送ってきていた。“困った時”と書いて大切にバッグに入れて持っていた。
 アムステルダム・スキポール空港で入国審査のお兄さんに止められた。何を言っているのかさっぱりわからない。
 娘から送ってきたものの中で、アムステルダム・スキポール空港で聞かれたら見せる。というのがあったので入国審査のお兄さんに、日本語とジェスチャーで「ちょっと待ってね」と言っておいて、ゴソゴソとそれを取り出して見せると、ニコッと笑って通してくれた。

 

 私は風邪をひいていたのでマスクをつけていた。ドイツ・ブレーメン行きの飛行機に乗る時は「マスクは除けて乗るように」といわれていたので、それにしたがった。
 飛行機を降りゲートへ向かうバスの中でアジアの人らしい、かわいい女性が何か話しかけてくるが、さっぱりわからない。「ごめんなさい、わかりません、私ジャパニーズ」と日本語でいうと彼女は「チャイニーズ」といってニッと笑った。
 ゲートに到着。荷物の受取り口に行くと向こうの方に娘婿のクリストフの顔が見えてホッとする。大きく手を振る。彼も手を振る。このポーズはよかったようで、入国審査は何なく通った。クリストフに出合って「私、風邪ひいているんだけど、マスクしていい?」「あやしい人に思われるからダメ」という。
 空港ロビーは、ドーベルマン犬を連れた、こわそうなおまわりさんが立っていた。
 クリストフの車で娘の家へ。
 娘に「クリストフがマスクをしたら怪しい人に思われるからダメといったよ」「ドイツはマスクをするのは細菌研究をしている人とか防塵マスクをする人だけだよ。マスクなんて売ってもないし医者もしている人見たことないよ。それにアジア人でマスクなどしていたらサーズかと思われるよ。」とのこと。
 やっと娘の家に到着。実に我家を出て、二十四時間。やれやれ!

(手記:エフコ)

⇒ ブレーメン紀行(2) 



 今月からエフコさんのブレーメン紀行を数回に渡り掲載してゆきます。“生まれて始めての外国一人旅”です。目的地は長女の移住地、ブレーメンです。2ヶ月間の滞在だったとか。先月のミーティングで多くの写真を拝見しました。一口でゆっくりと癒し系の地を連想させられました。ワァー私は2ヶ月程出かけたいな〜!(^_^)
出席された方々には私も含め、美味な現地のチョコレートをいただきました。欠席者は残念・・・!でした。(・_・、

 (G記)