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全国調査 「専門里親」希望は15%
虐待された子どもを受け入れる「専門里親」を希望するのは15%――。
湯沢雍彦・お茶の水女子大学名誉教授(家族法社会学)らが全国の里親を対象に行った調査で、厚生労働省が02年秋に始めた里親制度改革が浸透していないことが分かった。児童相談所が里子と保護者、里親から意見を聞き「養護計画」を作る新制度も68%が知らなかった。
専門里親は、虐待された子どもの心身の傷を家庭環境の中でいやし、2年以内に保護者に帰すことをめざす制度。02年10月から厚労省が子ども75人分の専門里親への特別手当などを予算借置して始めた。だが、03年12月1日時点では、専門里親に託された子どもは14人にとどまっている。
湯沢氏らは03年9〜12月に複数の調査を実施。児童相談所から子どもを委託された里親への調査では、1189家庭から回答を得た。専門里親になることについて、39%が「希望しない」、33%は「わからない」と消極的だ。
児童相談所が、里親支援のために新たに養育計画を作ることについては、「期待している」と答えた人は全体の14%にとどまった。
湯沢氏らが同時期に、虐待された子どもを受け入れたことのある里親20組に面接調査したところ「子どもが万引きを繰り返し、児童相談所に具体的な助言を求めたが、『もう少し頑張って』としか言われなかった」という指摘もあった。
また、子どもを里親に委託中の全児童相談所へのアンケートでは、回答した153カ所中、里親への委託業務を専門に担当する職員を置いているのは35カ所。職員が異動せずに継続して担当する年数は「2年以下」が10カ所、「3年以下」が72カ所、「5年以下」が52カ所で、9割近くが5年以内に異動していた。
-朝日新聞より-