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<本の紹介>

『カリフォルニア物語』

吉田秋生((あきみ)) 著 (1〜4巻) 小学館文庫

長期ランナーの激しくも孤独な青春期をあらわした感動的長編です。読みながら18歳時にみた『エデンの東』をおもい出していた。登場人物がTシャツとジーンズ姿に身をまとっており、現世の若者が等身大に描かれ、コミックというより映画の一(ひと)コマ(こま)一コマにおもえた。父親とぶつかり、果てに兄とのコンプレックスが底には流れ、激しく、淋しい、せつなさがあふれ出ている。
この世に生を浴びた時より、母に父に捨てられて育ちゆく一人の若者・・・父を求めよろよろとするが、どんどん離れてゆく・・互いに強情で心の内を決して語ることなく・・・いつか家出という型で父子関係をチャラにしてゆく(青年)父子・・。人との出会いと別れ・・だが決して人を心底愛することがない・・それを彼女より指摘され・・失意におちいる・・・というものです。
これまた読み終えたあとは、ズッシリと重たく・・でもここを乗り越えつつ人は生きのびる・・。じっくりと考えさせられる内容でした。

(G記)