読売西部本社版 朝刊2004.4.14
発達障害体験もとに小説 高機能自閉症の作者「理解して」
対人関孫をうまく築けないなどの障害があるアスペルガー症候群の少女を主人公にした小説が今月、出版された。
作者は同じような障害に悩んできた高機能自閉症の男性。周りに理解してもらえず、「問題児」として扱われた体験を基にしており、「発達障害のことを多くの人に知ってもらいたい」と訴えている。
題名は「Myフェアリー・ハート」。福岡県内に住む成沢達哉さん(30)(ぺンネーム)が書いた。
アスペルガー症候群や高機能自閉症は、社会性やコミュニケーンョン力に障害があり、特定のことに強くこだわる特徴がある。脳機能障害とされるが、知的障害を伴わないことから、性格やしつけの問題と誤解されやすい。小説の主人公の少女も指いじりなど一つのことに没頭したり、学校でパニックを起こしたりして、先生に誤解され級友のいじめにも遭う。だがアスペルガー症候群と診断され、同じ症状を持つ子供と出会い、家族、先生ら周囲の理解が深まるにつれ、自分自身を取り戻し、成長していく。
成沢さんも二十八歳で高機能自閉症と診断されたが、学校時代は「問題児」として扱われてきた。小説は「前半は自らの体験を基に、後半は自分の希望を描いた」という。 四六版、ニ百七十六ページで、
文芸社(東京)から出版。1500円(税抜き)。 |