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ヒアシンスの想ひ出

 桃色と紫のヒアシンスの鉢植えが、ニ鉢ぽつんと産直市で売られていた。私は「あっ!」と心の中で歓声をあげた。
 私の想ひ出の花ヒアシンス。それは、四才の頃幼稚園で窓辺で水栽培されていた数本のヒアシンス。
「根が水の中へずいぶん伸びているなあ。」と感心しながら、この花が好きだった。私の原風景の花でもある。
 何とも香ぐわしいその花は(一鉢百五十円と安かった!)、今私の部屋でいつもいっしょだ。さまざまな、幼稚園時代の思い出が次々と蘇ってくる。あの頃は、原家族−両親も機能不全におち入る前だったのかなあと思う。穏やかで笑いのある家庭だった。
 でも通園路で、同級生の一人(女子)にイジメられた事は辛い事だった。たびたび突然理由もなく、1m10センチの畑へ突き落とされていた。不幸中の幸いで下がコンクリートでなかったため骨折はしなかったが・・・。その事を一度だけ母親に言ったが、何もしてくれなかった。ある日、大泣きしながらイジメッ子の母親に私は訴えた。
 いつもいつも「子どもを守る」という姿勢のない母親だった。
 だから、私はその事を反面教師として、そうはならない親になろうと思っている。子どもを、とにかくも命懸けで守っていこうと思っている。子どもが一才をすぎた頃から教育講演会へ何度も聴きに行き講師の先生に質問した。カウンセラーの先生にも多くの事を教えていただいた。子育てに関する本も沢山読んだ。少しずつ私は、成長してこれただろうか?
 現在、私の愛し子は中学生。思春期、反抗期のまっただ中。順調に反抗してくる事は、拍手である。意見をぶつけあうこともあるが母である私の事を信頼してくれていると感じている。「何か大変な事が起きたら、お母さんに話したら、助けてくれる。」と。(もちろん自力で解決できることは応援して見守るが)。
 子どもとお互い冗談を言いながら、その成長を見守っていける幸せを今、実感している。

2004年3月29日よく晴れた日に

  ペンネーム "ヒアシンスの想ひ出"