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第3回日本外来精神医療学会

(ホテルオオサカサンパレス,1970年万国博覧会の岡本太郎作太陽の搭のある場所)が大阪の吹田市で開催され、土曜、日曜日のオフを利用して参加してきました。

大会テーマは「外来医療の拡大による可能性と限界」が掲げられ白熱した討議がくり広げられ外の夏日を吹き飛ばすがごときでした。
そのなかでの初日の記念講演について紹介します。テーマは「生きること、死ぬことの大切さ」、講演者は、ノートルダム清心学園理事長 渡辺和子シスターでした。お年の頃なら70歳半ばと推定されます。壇場に立たれマイクに向かい「What is this ?」と一声が投じられた その瞬間 会場はフリーズしたようでした。黙って聞き入ったのです。
本当はこのとき「What time is it now ?」と聞こうとしたのが、誤って問いかけた・・・。しかし この瞬間より<時間の質>について考えはじめたのことでした。今日という日をよく生きるということを真剣に自らに問いかけたということでした。シスターは50歳でうつ病におそわれたその日のことについて語られました。 運命ははかなく冷たいけれど神の計らい節理はあたたかいということに気づかれたそうです。
この日までシスターは日々 doing (することばかり考えていた)で動いていたが、自分に待ったがかかった時より、being(在り方)を忘れた生活に気付くことができた。時間の奴隷でなく、時間の主人として生きる、私が私の生活の主人となり、責任をもちよく生きるということについて学べたとのことでした。
最後に亡きマザーテレサを引用された。「愛とは何か?」と問うとき、してもらいたいことを相手にすること、私は私らしく生きるということを。 マザーテレサがしたことは賛否両論あった。 死にゆく人々に手当てをする・・・薬を投与する・・・それならば治りゆく人に投与すべきではないかと・・・しかしテレサは違った・・世間との和解をしてから死んでゆくことの大切さを解かれた。 死にゆく笑顔がその証・・・。 能率的、合理的なものを超えた魂の大切さについて学んだと・・・。マザーテレサのその居場所には見るべき医療はなかったが、真の看護(失われ忘れられている)がそこにはあった・・・。 あたたかい眼差しとぬくもりのある手で人に触れる・・というものが。 一人一人を大切に、ひとつひとつに心をこめて接していく。この時間は私を豊かにしてゆくのだ・・。
会場は静まったままで、90分間が経ち、演者のやわらかく優しい、かつ明瞭な声が終了した数秒後に拍手の渦となり幕を閉じた。フト我に返ると、その声に涙していた自分がその場にあり、一瞬たりだが心がおだやかであることを感じた・・・そんな内容でした。

G記