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ひきこもりミ−ティング第一回開催記

 前略、先月リサイクルショップでハイキング靴を買って、ある場所へ初めて穿いて行ったところ、なんと底板がボロボロと崩れだし、歩き回ったフロアにばらまいてしまい、後の掃除に手間取りました。靴は一日で使用不能に。
今から思い返せば、足の裏が当たる所に、左右で違う色の布が張られていて、少しおかしいな、と思ったのですが、外見に変わった所はありませんでした。布を張り付けた接着剤の溶剤が内側から崩壊を促したのかもしれません。リサイクルショッブも予想できなかったのではないでしょうか。
将来リサイクルに関わりたいと考えている人間には、よい授業料になりました。皆さんもお気をつけください。
さて、後藤先生から、先月香川県で初のひきこもりミ−ティングを開催したことについてリクエストがありましたので、思いついたことを書かせていただきます。

<本> 同じ問題をかかえる人間が集まる、いわゆる自助グル−プ(セルフヘルプグル−ブ)の発生を扱った本としては、著者:斉藤学、発行:日本評論社、「魂の家族を求めて」1995、があります。
アメリカで二人のアルコ−ル依存者が出会って始まった、AAから断酒会、AA方式を使ったNABAなど各グル−プの誕生のいきさつが書かれています。もしあなたの抱える問題のグル−プが今無くて、あって欲しいと思ったら作ればいいのです。

<最低限必要なのは、場所を確保すること> 施設の事務室で部屋を借りる手続きをするのは、思っていたよりあっけなく済みました。
ただ、大勢の中で呼ばれて平気なグル−プの愛称を考えるのも手です。使用料を銀行に降り込むシステムだったのですが、客の中で待っていると「ひきこもりの会様!」と大声で呼ばれてビビりましたが、すまして領収書を受け取りました。

<核となる人が必要です> これは、AAで酒を止められましたと断言する、ある相談機関の代表者の言葉です。
(1、2年前、そこで「マザコン男性の集まり」が出来かかりました。中心人物になるよう持ち掛けられましたが、その時の私には時期的にまだ無理だったようです。今、私はこの問題を強く意識して、解決したいと思うようになりました。母親に侵入され、自分の男性性を否定された経験を幾つか思いだしました。1、2回限定で、「母親との関係に問題を持つ男性の集まり」を開きたいな、と思っています。)
核になれる人物、コアなら、AC達に粘り強くかかわる治療者の、後藤先生。当事者のみの集まりでは、手間を掛けてでもその問題の解決を自分で強く欲している人間、という事でしょうか。

<経験は必要か?> 私の場合、身近に二つあるACの集まりに2年程、休んだりしながらも行った経験が役に立ちました。会の進め方だけでなく、他のメンバ−にどう接すればよいのか、メンバ−の中での人付き合いのやり方などを他のメンバ−を練習台にさせてもらって(現在も進行中!) ありがたいと思っています。まずい対応をしては、後で後悔して別の新しい相手に生かしているというところです。

<会の進行方法をどうするか?> 集まって来た人がなんとなく雑談をはじめる(居場所を提供する)だけでも会は成立するのですが、メンバ−一人一人の考えている事を全員に伝えたかったので、一人一人順番に回していって、言える範囲で、体験やメッセ−ジを話してもらい、他のメンバ−に聴き手になってもらい、また、意見を戦わせる討論の場でもないので、話している人に対して、他の人は批評、批判、質問を差し挟まない「言いっぱなし聞きっぱなし」としました。(これは、高松のACAで既に私には馴染みのある方法です。) そして部屋を借りている残りの時間を自由時間としました。

<宣伝> 出来れば多くの人に来て欲しい。一か月前に精神保健福祉センタ−、保健所、二週間前に新聞社の支局に開催の知らせを郵送しました。

<会の基本方針は?> アルコ−ル、薬物などの物質依存のグル−プは、それを止めて、摂取欲求と戦うところからスタ−トするそうです。ひきこもりは、行為依存の、摂食障害の集まりNABAがお手本になるのではないでしょうか?ミ−ティングはのぞいたことはありませんが、NABAでは、まず自分を肯定する事から始めて、いいかげんに生きようとすすめられるんだそうです。
ひきこもりのミ−ティングではそれを参考にして、まだひきこもりたい人、脱出したい人、それぞれの意志を尊重するところから始めよう、と決めました。

<初開催の感想> 「ひきこもり」というくくりでは、今まで同じ悩みで集まったことが無かっただけに、喜びも一入(ひとしお)でした。私自身、人に受け入れられる快感を味わい、胸の中を熱いものが流れるのを感じました。暫く景色が変わって感じられた程です。初端(しよっぱな)の高揚もあったと思いますが。

<展望> 高松のACAの中心人物が言っているように「私は自分の問題を解決するために会をやっているのよ。」と、私も平然と言えたらカッコイイのですが。まあ、主催者ひきこもり状態のためミ−ティング開催不能、なんて事にならないように、せいぜいがんばらないように、がんばりたいと思っています。 K

<追伸 10月 8日> 以上が第一回開催の後に書かれた文章です。その後高松市女性センターで9月29日土曜日に第二回開催が行われました。参加者は男性6名。ところが問い合わせの電話等で、仕事についているけれど心がひきこもっている、という新しいかたちのひきこもりの方の存在を知らされました。(仕事に就く、家を出る、という壁にぶち当たっている私にとって、とてもよい刺激になりました。)そこで翌日の9月30日の日曜日に臨時に、前述の最低限の必要条件さえ満たさずに、場所も借りずに、なりゆきまかせで、女性センターのロビーで会うよう呼びかけたところ、なんと前日の本開催を上回る女性4名、男性3名、計7名が集まり、雑談をしました。静かに盛り上がったという印象です)
両日、Oさんが作ってくれた、ひきこもりミーティングのホームページhttp://takamatsu.cool.ne.jp/hikicomi/ もメンバーの方々に紹介させていただきました。感謝しています。このように思わぬことが次々と起こっていて、私も勉強させてもらったり、いい影響をうけているというところです。
最近は外へ出ないと実現できない欲求ばかりとなり、どこがひきこもりなんだ?という感じです。
さて今現在10月21日のフリーマーケット初出店に全力を傾けていて、20日のコアには参加できません。悪しからず。