ちょっと一息コラム index

 小説の中から
 ある小説の中にこのような言葉が出てくる。
 “死は生の対極としてではなく、その一部として存在している。”
 生死を分ける、という言葉もありますが、上記の様に死と生は同時に存在しています。
 以前、ある高齢の大学教授の講演を聞きに行きました。その話の中で、その教授は自分が歳を重ねてきて、「死」というものが目前に見えてきた時、「死とは、生とは」と自身のこととして真剣に考えたそうです。そして、死と生とは別々に存在するのではなく、同時に存在している、ということが心の底から実感できた、と語っていました。
 この教授のように、死が目前に見える年齢になった時や大きな病になった時、死のうと考えるくらい追いやられた経験のある人なら、この小説のフレーズがよく理解できると思います。
 “死は生の対極としてではなく、その一部として存在している。”
 この深い理解が、大自然の中に抱かれ『生かされている』という実感を人に感じさせるのではないでしょうか。人間を超えた大きな力に、生かされているという実感です。それが、心の底から深く感じられたら、あなたはもういろんなものから関わりが切れた“孤独”な存在ではなく、「孤独」ではあってもいろんなものにつながっている存在です。
 最後に美しい言葉を。

“風立ちぬ、いざ生きめやも”

(サンシャイン)