体験記 (53)
このような心で家内の実家へ行き、すべてが他人の中で親戚としての付き合いが苦しく緊張した心で苦しい時間を過ごしているのだが、帰るようになると(あーやっと帰れる)そんな気持ちでホッとするのであった。
挨拶をすませ車に乗り込み帰路につくと、水を得た魚のようにリラックスしていきいきとするのであった。同じ道路を走っても正反対になるのであった。
こう書くと、それはお前の我がままでしかない。新しい親戚なのだから仲良く付き合っていくのが本筋であると言われると思うが、仲良く和やかに付き合いたいのは山々だが、人はそれぞれ好み考え方が違っており、人の心の中は分からないから、相手が、何を考え、どう思っているかを常に考え、私の言動を不快に思われたのではないかと、気をまわすクセがついているから、どうしてもリラックスして人と接することができないのであった。人の思惑を考えて、言いたい事も言えず相手の顔色ばかり見る対人恐怖の症状は常に私の頭から離れなかったのである。
そういう中で苦しい心のままでも、会社へは毎日出勤して仕事は普通にこなしていた。
そんなある日、仕事が早くかたづいたので、今日は定時で帰ろうと思って、いつものように仕事のしまいをつけて帰路についた。だいぶ家の近くまで帰った時に今日トラックに積み込む物と残す物の連絡を忘れている事に気が付いた。慌てて電話をして今日はこの分をトラックに積んでほしいと連絡をした。
翌日会社へ行くと、何人もの人から連絡を忘れたことを責められた。結婚してすぐだったので「そんなに嫁はんの顔が見たいんか」「電話したって遅いんじゃ、皆に迷惑かけやがって」と口々にののしられた。
これは100%私が悪いので皆の前で謝った。すると「謝ってすむんなら警察や裁判所はいらんのじゃ」と語気するどく怒鳴りつけられて、何も言えずに黙ってがまんする以外に術がなかった。
ちょっとしたミスが関係者に迷惑をかけるのは分かっているが、ここまで責められるのはやはり私はいじめ易いからであると思い、あの時のつらさは、今も頭に残っている。
執筆 :(T.Y)