こんなことがありました(2)
任意後見人契約は私の方から申し出ました。公正役場に2人で出かけて行き手続きをしました。この方は入退院を繰り返していました。入院費を支払う時は、貯金通帳の暗証番号をお聞きして私がお金を出金してお渡ししておりましたが、この方がご高齢でもあり、何かで声が出なくなった時、認知症になった時、入院費の支払いをどうするのかと話し合いの上、任意後見人契約を結ぶことになりました。この方はご主人様に先立たれ、お子様もいらっしゃらない方で、お身内は、ご兄弟が一人のみ遠方にお住まいの方でした。私とは、奇遇なご縁で20数年前より深いお付き合いがありました。
任意後見人契約は、水戸黄門の印籠のように、公にどこででも通用しました。“お節介おばさんです、”“知人です”だけではどこも相手にしてくれませんが、“任意後見人です”と言えばどこでも大きな顔で手続きが進みます。しかし、しかしです。死亡届、火葬申込書に任意後見人と書き、私の名前を書き、印を押しました。後々市役所へ行き、この方の除籍謄本を請求しましたが、除籍ができていないのです。
市役所の窓口の人が奥の上司のところへ行き、書類は出ているが除籍ができていないと話し合っています。やがて上司が出てきて私に「法務局戸籍係へ行って下さい」とのこと。法務局へ行って登記事項証明書を入手すると、私の法的な立場は、任意後見受任者というだけで、正式には、この方の死亡届けは出せないということがわかりました。市役所に行き、法務局に行き、又、市役所に帰って、私の名前では、この方の死亡届は出せないということがわかりました。後々市役所の係の方がケアーハウスに出向いて(ケアーハウスの居室で急死されたので)死亡届に施設長の名前と印をもらって来て、やっと除籍ができました。
法務局に行った時、係りの方から、登記申請(終了の登記)の用紙をいただきました「東京の法務局へ書留で送って下さい」とのこと。後日郵送しました。