『ブッタとシッタカブッタ』
小泉吉宏(著)
もうずいぶん前になりますが、「子ぶたの気持もわかってよ」という作者の絵本を手にした。この時、ホノボノとしたブタの画風の中に、子ども達のメッセージがこめられて、大人達へのバイブル的絵本と感じ、周辺の大人に読本をすすめていた。その後、しばらくして、上記タイトルの絵本が出版されていたのは知っていたが、やっと今年に入り手に入れて読んでみたが…「子ぶた…」よりもさらなるメッセージがこめられていた。おどろきだ。かわいい子豚のどこに… 内側から、あふれ出す… ユーモアとペーソス。でも全て本音の言葉。作者の年齢は57才(?) あまり生きた時代に差はない。でも、その作者の体験が見事に折り込まれ、読者に伝えている。最後に《読んで理解してくれても知識にだけすることは、お避け下さい》 と書かれていたことが印象的だ。マンガといってもあなどれない「心」を語る本。題45回文芸春秋漫画賞受賞のシリーズ本です。是非一度暑さを吹っ飛ばす意味でもクーラーの効いた部屋でシッタカブッタのじたばたする姿を見て笑いながら、読破してみて下さい。