「香川ダルク設立準備フォーラムー絶望の淵から希望へ」 開催報告
報告をする前にお断りをひと言加えておきます。先に記したタイトルで開催できず、「アデイクションに悩む家族へのメッセージ−薬物依存・絶望の淵から希望へ−」と、変更を致しましたことをお詫び申し上げます。今回の開催のために遠方より何度も足を運び御尽力いただいた、大分ダルクの所長であります伊藤弘行氏が、今月15日未明に他界されました。このことよりダルク設立準備の話は成立しなくなり(規約に基づき)ました。この事実より、即日会議を重ね持ちましてタイトル変更ということで開催までに漕ぎ着けました。以上のことを踏まえて、講師の先生にも急遼、この旨を伝え、一齣だった講義を快く1日引き受けて<ださり当日を迎えるになりました。(心より感謝しております。)開会あいさつを家族の代表がし、開始となりました。講演1として、面川京子講師より「病気としての薬物依存症とその回復」と題して講演をしていただきました。そのあと、ダルクに通所している、通院している、回復途上の当事者の家族の語りを中心に体験発表をしていただき、講演2として、家族に向けての「家族ができること取り組むこと」と題してこれまでの臨床経験の中より生み出され、関わられたことを臨場感漂う中で話が深く広がりを持ちました。講演終了後も数多くの質疑がなされ制限時間まで白熱ある内容となりました。
講演内容を簡単にまとめます。薬物依存症は「病気」です。正しい知識を持ち、決して怖がらず社会の中で受け入れて欲しい。また当事者以上に家族のもつストレスは精神科通院者よりも高得点である。薬物依存症発病要因としては、薬理作用、個人的条件、家族の条件、社会的条件等複合的に働いているが、社会で生きて行くことへの息苦しさなどが手伝い、自己治癒と化す薬を求めている事実がある。依存症への進行過程は初回使用−機械的使用−習慣的使用−薬物乱用−依存症(強迫的使用)へと至るという。(正にアルコール依存症と同じである)診断基準としてはICD−10を用いる。こうして薬物関連問題として生活に進入してる現状を話し、回復するとは「単に断薬している年数ではなく、薬物を使用しないでバランスのとれた生き方ができるようになることである」とくくられた。
回復に必要な条件としては、自助グループ(NA)、仲間、カウンセリング、回復施設、家族。社会の理解と協力は必須となる。いま、海の向こうのアメリカが実施しているドラッグ(トリートメント)コートの話もタイムリーな話題となった。刑務所が計画した治療プログラムである。選択は本人の自主性(自己責任)に任されているということです。
家族の体験発表は生々しい修羅場、子どもとのやりとり、裏切り、見放し捨てるこれまでの苦労が口からほとばしるように語られました。フロアーでは絶句される方も涙する方もいらしたようです。この発表から何を感じ取り、何ができるかを模索できた時間となったと感じます。母親達からは、たおやかに、しなやかに生き抜く手だてとして講師との出会いに感謝しているとも語られました。(よき理解者・支援者)
家族が取組むべきこととしてはつぎのように話されました。「家族で抱え込まず専門家に相談をして支援を求めること」「病気を理解して適切な対応を身に付けるために学習すること」「薬物問題で起きた問題の後始末をしないこと」「当事者の気持ちを理解する」「問題を持つ人に信頼と尊敬を持ってつき合うこと」「家族一致して、一貫して取組、健康な家族関係を作ること」「家族も自助グループに参加して、孤独から抜け出すこと」「家族自身の人生を生き、自立すること」と終日柔らかいまなざしで、ソフトな口調の中にも核心に触れ、迫力あるすごさを感じさせられるものでした。