「いのちの電話公開講座」

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 「いのちの電話公開講座」が2009.2.7(土)午後よりサンポートホールで開かれた。
演者は精神科医であり作家である、なだいなだ氏が「『こころ医者』のすすめ」というテーマで話した。
 なだ氏は医師としてアルコール依存症者の治療にかかわってきたことより、精神科医療の歴史、薬の歴史的背景を説明した。フランスでクロールプロマジンという新薬が開発されたが、いわゆる症状をとるだけのくすりとして登場した経緯について話をすすめた。氏は留学帰国した当初から久里浜病院に赴任し、何度も断酒を試みながら失敗し続けた男性のアルコール依存症者とのかかわりのなかで、断酒人生の難しさを教えられたことについて唱かれた。
 「今日一日断酒」の意味より過去と明日のことは考えず、今、この時のみ考えてゆくことを実践されたこと。更に、一人ではすぐにあきらめるが仲間の助力があれば再び立ち上れるといい、仲間の必要性大切さより、自助グループにつなげることの意味。このなかで、一人の人生を目前にみることができること、一生つき合うということとか、このなかで、<生きた><やった>の体験の積み重ねをしてゆく努力を惜しまない工夫ができることについて話された。ア症者にこれまでは説教するぐらいしか能がなく、意志がよわいと言い叱りのかかわりから一転したという。日々を積み上げる難しさ・・。「3日間ものんでいない」というに対して「3日間しか」と返すと心のリレーションはできない。こころ医者になって下さい。耳を澄ませて聴くことです。悩みを抱える人を孤独なままで放っておくのではなく、近くにいる人が『こころ医者』として寄り添ってほしいとフロアーに呼びかけた。自分のものさしを変えることだ。聴くのは忍耐力がいります。これは特別な人間のなせる術です。人の話を聴き、そして自分を知る。自分をふり返る。それが自分の成長となる。
 最后に回復者のK氏の妻の話をされた。壇上で「昨日は夫は酒を飲み・・ドキドキしました。」と横にいた夫はおどろき「嘘を言うな!」と牽制し・・フロアーもザワツキ―― 最后に妻が「夢でした」と言い、ザワツキがおさまる事のいきさつをされた。この時夫は「俺を恨んでいるから、そのような夢をみるのか…!」と妻に話しかけると妻は「あなたを許してますよ。でも忘れることはできないの。だから夢の中に出てくるの。毎日不安です」と伝え返したという〜。仲間のなかで、くり返し、くり返し話しているうちに「許してますよ」「でも忘れられない」と自己洞察に到ったのです。素晴らしいとしか言いようがありません。久しぶりで話を聞き感動しました。
(G記)