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―― は じ め に ――

 「医療の分化は改めるべきだと考えます」とブライアン・ゴールドマン救急医の講演が開始される。その後「野球の話をさせていただきます」と言い、「メジャーリーグでの好打者は4割打者を指します」と前置きをし、本筋に入る。
 「でも、虫垂炎の手術が4割打者では困るのです。心臓外科医も2割打者では困るのです平均の成績は10割打者です。しかし実際は誰も知ることもなく“絶対失敗をするな”と学び医療現場に入っていくのです。私は学生時代、血液検査を受けるための勉強をしてきたおかしな学生でした。こうして優秀な成績で卒業をし、現場に出たのです。研修時代にドラッカーさん出会うことになりました。その日は当直で救急外来で搬送された男性です。1,2時間を越えて診断・処置をし、ナースには“帰宅させて大丈夫!”と問い帰宅させたのです。その日、翌日はなんだか普段と違うことをした自分に不具合を感じておりました。すると再度その患者さんが搬送されてきたのです。その時、上司より“覚えてますか?”と言われ、大きな二つの間違いに気づくことになるのです。一つは上司という指導医に報告をせず、2つ目は自己判断で帰宅さ せたことです。そのとき自分の心の奥では<手間のかかる研修医だと思われな異様に振舞った>だけが取り返しの付かないことになったのです。結果、その方は数日後に亡くなったのです。その直後より、私は精神的に追い込まれていったのです。<恥と言う感覚><完璧であるための努力はなんだったのか?>と・・・・私の中でささやき声が聞こえ始めたのです。苦しかった、ただ苦しかった。次の25歳男性患者のときも然り、上司が、家族に向き合い説明を返して難なく終えたのです・・・。この方は回復されて退院となりました。しかし、例のささやき声が私を苦しめたのです。そしてついに私は支援を求めたのです。“私を支援して欲しい・・・失敗しない人間はいない・・・”と。しかし、医療というシステムが先行し、失敗をする人間を医療外界から締め出しにかかるのです。現状では失敗はうなぎのぼりに多くなっているのですが世間に公表されていないだけです。失敗という裏には、患者が訴える内容にもバイアスがかかり理解に誤差が生じることもあります。医師はロボットではないのです。間違いは回避できないのです。でも人前では口封じをする。〜〜〜でも私は失敗をしたことを目前で語り、聞いて欲しかったのです。自分の経験を洗いざらい話す。こうして皆が、人間であることに気づくことが出来るのです。だから、正直に話し、支援の出来る場を与えてくれることを希望します。間違いから努力が生まれるのですから・・・“覚えていますか?”と責めるだけではなくて。」
 と話し終了となるが、大きな拍手が沸き延々と続きました。

(G記)
編集後記

 「今年は寒く、自転車通学生・通勤者は泣かされていることでしょう。文明の力である4輪車は人を温かくしてくれますね。でも、それを操作できても、人の心は操作できないのが人間の心ですね。人は不可解です・・・世の中も不条理です・・・・人との関係を築くことの大変さは今更ながらに思い知るこの頃です。まだまだ寒さが続きますがお風邪など引きませんように・・・

(G記)