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「息子の部屋」

 2002年2月10日(日)に京都四条瓦町にあるギャガ・ヒューマックス(松竹系)劇場にて、映画「息子の部屋」を観た。(この日は娘のバースディーであったゆえ)
 筋は平凡な、普通の家族の日常が展開している中での、息子の突然の死(溺死)。そして、突然の悲劇におそわれる不条理というべき悲劇について描かれている。
 父は精神分析医で終始、寡黙で患者の話しの聞き役に徹している。母も有職者で有能タイプ。チアガールをしている高校生の姉、そして亡くなった弟の4人家族。家族が各々各様に好きなことに励んでいる。つまり、「みんな一緒」であるよりも「ひとり」であることが強調されている。そして家、家族は騒音もなく、どの部屋もきれいに片づけられ、全体的に<静けさ>を強調している。そして突然の死が起きても<静けさ>は依然、滞っている。大仰に嘆き悲しむことをせず、どちらかというと、喜怒哀楽の感情を仰々しく外にあらわさない。慎み深い静けさを失わないのだ。葬儀当日も、3人はかろうじて抱きあい、慰め合うだけで、あとは「ひとり」で耐えようとする。神にすがることもない…「ひとり」ずつ、"喪の仕事"をしてゆく。やはり静かさが強調されている。
 経過しても3人は元の生活に戻れない。こんな中、息子が付き合っていたという女の子が(思いもかけない)登場して、場面は急変化してゆく。
 「他者」の訪れが効を奏して3人は悲しみを癒し、和らぎを与えられた。
 最後に他者を送る浜辺のシーンでは3人が思い思いの方向に歩く姿がある。近づくでもなく、離れるでもない。絶妙な距離を保ちながら、海を背景にした3人の心のなかで、「みんな一緒」の家族愛と「ひとり」の個性が柔らかく溶け合っているさまが描かれ…幕となった。観終えた感想は…「家族って何?」… みなさんビデオ配布となりましたら、是非一度ごらん下さい。

 (記、後藤)