ちょっと一息コラム

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映画 『華麗なるギャツビー』 より

〜華々しさの裏にあるもの〜

 本作は、F・スコット・フイッツ・ジェラルド原作「グレート・ギャツビー」を映画化したものである。物語はアルコール依存症の男が執筆するにあたって、彼が出会った華々しい人々との出来事を回想するシーンから始まる。
 その回想の中で、最も彼を魅了させたのが、ギャツビーという謎めいた一人の男だった。ギャツビーは毎夜毎夜、豪邸できらびやかなパーティーを開く。何のためにそのパーティーが開かれるのか?そして、ギャツビーの秘めた純粋な恋や生い立ちが徐々に明らかになっていく。
 このギャツビーに扮するのが、「タイタニック(1997年)』のレオナルド・ディカプリオである。本作で彼は華々しくきらびやかだけれど、どこかかげりのある人物を演じている。しかし、以前にもディカプリオは『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン(2002年)」という映画で、表面はきらびやかだが、言い知れぬ寂しさや辛さを抱える青年を演じていた。その青年は嘘や虚栄を張って生きていた。それは、人には見せることのできない寂しさや辛さに追い込まれてしまうという気持ちを抱えていたからだ。青年は、その気持ちから逃げ続けなければならなかった。そして、雪の降る夜、昔自分を捨てた.母親が新しい家族と共にクリスマスを過ごしている姿を外から眺める。もう自分の居場所はない現実と底知れぬ寂しさを彼は一人でかみしめる。彼はいつも心が一人だった。そんな感情を、ディカプリオは映画を通して伝えていた。
 本作の『華麗なるギャツビー』でも、彼の目からは、野心に満ちているが、同時にその裏で一人でずっと抱えてきた寂しさや辛さ、そして健気さや純粋さまでもが感じられる。かげりに支えられて、表面の華々しさが際立つ。(肉厚の胸に、高級なジャケットはよく似合っている。)そうした人知れぬ感情を裏に抱えた人物を、言葉ではなく表情や佇まいで繊細に演じることができるのが、レオナルド・ディカプリオという俳優である。(成功者の振る舞いの中に、幼心の純粋さが残る。)
 また、本作は装飾やファッション一つとっても、見ごたえのある豪華なものばかり。それだけでも、この映画は一見の価値ありです!!

(サンシャイン)