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体験記 (30)

 毎日会社へ行くようになると(行きたくないなー)と思い乍らも休めば、ますます行きにくくなるのと入社して会社に籍がある以上、仕事の役割もある。私が休めば誰かがその仕事をしなければならず、ちゃんとした理由があれば休めるが、ズル休みする勇気はなかった。(要は気が小さいのである) 生きたくないなーと思い乍らも、そのまま無理矢理、体を会社へ持っていくのだが、会社の中へ入ってしまうと普通に仕事ができるのが不思議であった。
 会社は春と盆正月は、いつも9連休であった。大型の休みなので、しばらくは会社へ行かなくていいから心は晴れ晴れとして休暇を楽しんでいた。(友人と遊ぶのでなく家で一人で、また外へ遊びに行くのも家族で行くのだが)連休の後半になると、もう休みも残り少なくなってきたと少し気が沈みがちになり、最後の一日になった日の夕方になると休みも終わってしまった、明日から仕事だと思うと、妙に淋しくなってくるのであった。初めは少し淋しいなと思うのだが、だんだんと淋しさがひどくなり、畳の上に横になり、エビのように体をまげて顔をしかめてジッとしているのである。淋しさに耐えて我慢していると、時間がたつにつれて、それはうすれて行き楽になってくるのである。しかしその間は縦の物を横にすることもできずに動くのも嫌になり、ただ嵐が過ぎるのを待つ意外になすすべがないのであった。大型連休には毎回このようなことの連続であり、なぜこうなるのか当時は分からなかった。
 しかし、これは何も大型連休の終わりだけではなかった。旅行に行くというような楽しいことでも時々おこってくるのである。明日出発する為に荷物をまとめて準備している時等、少し気分が落ち込む時があるが、大型連休の時のような大きな落ち込みにはならず、すぐに消えていくのである。これから考えると環境の変化が精神的に作用していたのかも知れない。
 新しい環境に対する逃避反応だったのかもと思う。仕事に行く前は嫌な変化だから大きな淋しさになり、旅行等は嫌な変化ではないから、小さな淋しさで終わっていたのだろうと理解している。内容はどうあれ、感受性の強い私の性格が環境の変化に反応していたのではないかと考える。
 サザエさん症候群というのがあるのを知った。日曜日の夕方、テレビでサザエさんが始まると、休みも終わった、明日から仕事だと思うと気分が沈むらしいとのこと。誰でも多少はそういう気持ちはあるのかも知れないが、私にはそれが強く出てくるのかも知れない。

執筆 :(T.Y)