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体験記 (10)

 同じ物流の仲間とグループで仕事していたが、何人かが集まっている時には何か冷たく私だけのけ者にされているような感じであった。
 私と2人でいる時はそうでもなく親切なのだがその意味が分からなかった。今にして思うのは私が無口で人付き合いが下手な為に話題がなく、自分が人々の話題に入っていかず黙ってポツンとしている為だったのだと思うが当時はそんなことは分からず、周囲の人は私には冷たいという考えで仕事をしていた毎日であった。
 そんな気持ちで18才になり、これから残業ができるようになった頃、何かしら腹が痛くなるのを感じた。痛みはたいしたことはなかった。チクーと痛くなり、しばらくするとまたチクーと痛くなり、それの繰り返しで、がまんできない程ではないが、ひどくもならないが良くもならずに、同じような状態がいつまでも続くので、心配になり大川病院(今のさぬき市民病院)を受診した。
 当時の内科の先生が「部屋も空いているし、しばらく入院して検査してみましょう」と言われ検査入院することになった。
 入院していろいろ検査したが、内科的にはどこも異常がみられなかった。先生は「すこし白血球が多いだけで悪い所はないですよ、神経科の先生と相談しながら進めましょう」と言われた。
 母は先生の「白血球が少し多い」というのを聞いてすぐに「白血病ではないですか?」と聞いていた。
 先生は「心配ないです。白血球なんかは、ちょっとしたことですぐ増えたりします」と言っていた。母のこういう風にすぐ悪い方に考えていくのが神経質の性格であるが、私もこのようにいろいろな面で母と同じように考えて生きてきたのである。
 しくしくと続く腹の痛みは病気じゃなく精神的な要因でおきたものであったのだが、先生が「神経科の先生と相談しましょう」と言われた言葉を精神に異常があると言われたように思っていた。同室の人が「精神科だから精神病というのではないですよ」といわれて科学的に人の心をみる所だと知り、神経科の先生に会社での人間関係のことを相談してみようかと考えた。
 今までは、何かあれば神仏に拝んだり、占いを信じたりしていたのである。内科の先生にその旨、話しをすると「あんたの言いたいことは分かっているから後日呼び出しがくるから行きなさい」と言われた。

執筆 :(T.Y)