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世界の中心で不幸を叫ぶ、ミニチュア・ダックスフント

 近所の生きとし生きるものたち全てに、不幸のズンドコを与え授ける、小さくて珍妙な寸胴型の犬。ミニチュア・ダックスフントは人の理想型であるモデルや有名女優がしばしばテレビで自慢して見せびらかしている舶来犬であります。視聴者は、この奇妙な犬と生活すると幸福になれるであろうと激しい欲望に胸が膨らみます。この犬のせいで不幸と敵意が蔓延する事態について放送されるのを見たことがありません。そもそも犬が吠えるのは主に敵意の表明であります。職場等で思う存分敵意を表明できないでストレスを抱えている人が、身代わりに天真爛漫に敵意を叫ぶ存在を必要とするのです。または、支配されるばかりで欲求不満を抱えている子供が、支配して思い存分 監禁拘束できる家来の存在を望むのです。他者が通過して激しく吠え立てるのは聞きなれているので何ともないのですが、近所のオペラ歌手のようなダックスフントは夕方になると際限なく延々と吠え続けます。たぶん他の犬の散歩が羨ましいのでしょう。飼い主が留守の日には、日がな一日中 吠え続けています。単なる騒音ではありません。生きとし生きるものたちへの不幸のお裾分けであります。犬科の精神病院にでも通院して安定剤を処方してもらうべきであります。
(o.s)